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後者は盤共に非常に状態の良いでございますが、CDジャケット内部・解説に経年の劣化そして帯がございません。
内容は言わずもがな。
ラインナップは初期名手揃い。
Tony Iommi(G)、Geezer Butler(B)、Ozzy Osbourne(Vo)、Bill Ward(Ds)となります。
1975年ライヴ音源でのキーボード奏者はGerald ”Jezz” Woodroffe(隠れ名盤”Technical Ecstasy”参加。後に初期Robert Plant Band)となります。
プロデュースはバンド自身となります(オリジナル版はPatrick Meehan(Black Sabbath初期マネージャー)。
Disc 1:1973年3月11日英国・マンチェスター”The Hardrock”、同年3月16日ロンドン”The Rainbow Theater”( ”Children of the Grave”以降の4曲)。
Disc 2:1970年12月20日フランス・パリ”The Olympic Theater”、1975年8月6日米国ニュー・ジャージー州アズベリーパーク”Asbury Park Convention Hall”(御存知!傑作”Sabotage”楽曲のみ)となります。
そもそも”Black Sabbath Vol.4”ツアー時に次作オリジナル作特典用ライヴ盤制作を見越して二ケ所で録音された音源でございます。
されど、録音の出来・質にバンドが不満を示し、御蔵入りとなります。
後々にOzzy Osbourne解雇後、後任にRonnie James Dio(ex-Elf、Rainbow、後にDio)を迎えたBlack Sabbathは大傑作”Heaven and Hell”を発表・大好評を博し、
またOzzy OsbourneはRandy Rhoads(ex-Quiet Riot)/Bob Daisley(ex-Widowmaker、Chiken Shack、後にGary Moore他)/Lee Kerslake(ex-National Head band、Uriah Heep)、
ゲストにDon Airey(現Deep Purple、ex-Colosseum Ⅱ、Rainbow、Cozy Powell/MSGセッション、後にWhitesnake/Jethro Tullセッション他)という名手陣を迎え、大傑作”Brizzard of Ozz”を制作・リリース。
こちらも大好評を博す事となります。
当時はかの”NWOBHM”ムーヴメントそして両者が制作前より相当な話題を呼んでいた事に目を付けたBlack Sabbath初期マネージャーで初期Black Sabbathのカタログ等の権利を有していたPatrick Meehanが、
初期Black Sabbathカタログ再発に合わせて、お蔵入りしたライヴ音源をバンド側の許可なく編集・作品化したという曰くありの代物でございます。
当然Iommi/Butler/Osbourne/Wards側は激怒となりますが、英国チャートで5位を記録。
Black Sabbath/Ozzy Osbourne双方のチャート・アクションを大きく上回るという洒落にもならない大好評を博す事となります。
(この一件でBlack Sabbathは初のライヴ盤制作を検討。それを知ったOzzy Osbourne及び当時のマネージメントも対抗措置として全曲Black Sabbath楽曲でのライヴ盤制作を検討する事となり、
それを嫌がった当時の中心メンバー名手故Randy Rhoadsが(音大進学を含め)脱退を示唆。混乱を齎す事となります..............)
後々にBlack Sabbath作品カタログの権利が当時のかの”Iron Maiden”マネージメント経営のレーベル”Sanctuary Records”によって獲得。
この”Live at Last”も含めリマスター再発となり、ようやくミュージシャン側の意向が(渋々とは言え)反映される事となります。
そしてその後の2002年、Black Sabbath過去カタログの再リマスター再発(”Sanctuary Midline”シリーズ)の企画が持ち上がり、この際にミュージシャン側の意向も組んだ形でのDX版化が為される事となります................
さて今作。
新規となりますが、毎度御馴染みAndy Pearceによるリマスターが為されております。
また、紙ジャケットは二枚。
現行のジャケットを紙ジャケット一枚組化に再デザインしたもの、そして”Live at Last”日本盤初回リリース時の仕様が復刻されております。
そもそも音質の問題でお蔵入りになったライヴ音源。
最初のリマスターの際には低音が強調された感があり正直リミックスの感がございましたが、前回・今回もそれを踏襲した感。
但し、今回はAndy Pearce特有の(現在主流の)フラットマスタリング方式で情報量重視の感があり、非常に良心的な音質となっております。
初期全盛期時代の演奏・アンサンブルでございます。
制作・ツアーを繰り返しキャリアを積んだ事で演奏の確かさとアンサンブルに非常に纏まりと躍動感があり、さらには極初期にあったアマチュア感や稚屈感が消えており、非常にプロらしいものが聴かれます。
選曲が非常に興味深いもの。
当時の新作”Black Sabbath Vol.4”中心ではございますが、次作”Sabbath Bloody Sabbath”楽曲が既に登場。
次作制作に向けて聴衆の反応を窺う感がございます。
初期全盛期の貴重なライヴ録音という事やスタジオでは加工品的な制作であった楽曲がライヴで自然な感覚のアレンジが為されている事で非常に聴き所が多いライヴ盤ではございます。
一番の聴き所は”Wicked World”。
かの名ブルーズ/ロック・バンド”The Aynsley Dunbar Retaliation”のカバーでヒットを記録。更にはドラム・ソロ/ギター・ソロを組み込む為に未だ使用されていた感がございますが、
メドレー形式にて”Supernaut”等の楽曲が含まれており、非常に興味深いものとなっております。
またIommi/Butler/Wardによる何と!ジャズ演奏( !!!.........ヘヴィではございますが........)も含まれており、ルーツ面として非常に興味深いもの。
名手Tony Iommiが鉄工所でのアルバイトで重大な負傷を負いギタリストとしての道を諦め掛けた時その会社の社長が見舞いに現れ、
かのジャズ・名ギタリスト”Django Reinhardt”のアルバムをTony Iommiに見舞いの品として渡した事から再びギタリストとしての道を志した、という逸話が思い出させるもの。
また、後々にBlack Sabbathに加入する名手故Cozy Powell(ex-Jeff Beck Group、Bedlam、Cozy Powell's Hammer、Rainbow、MSG、Whitesnake、Emerson, Lake & Powell、Peter Green Splinter Group他)曰く、
「ジャズでもクラッシックでも何でも出来る。非常に過小評価されているギタリスト」とのTony Iommi評が理解出来るものとなっております。
Butler/Wardのリズム隊がスタジオ作以上に躍動感と立体感が感じられる事もミソ。
Billy Ward自身も世代があり非常にジャズの感覚が強い名ドラマー。Elvin JonesやBuddy Rich等々の影響が窺えるもので、非常に興味深い演奏となっております。
Geezer Butlerの演奏ではございますが、そもそもの音質もあり聴き取り辛い面がございますが、低音というバンドの看板をTony Iommiと共に担うという感がございます。
Tony Iommiがソロイスト的なギタリストではない事や優れたリズム・ギタリストという事から、音楽性におけるリズム隊の自由や範囲がかなり広く設けられた感があり、
それを存分に生かすという感がございます。
Ozzy Osbourneではございますが..........................
巧みなヴォーカリストではございませんが、非常な声量に意外なポピュラー感あるメロディ感覚に強い存在感。類い稀な名ヴォーカリストという感がございます。
ボーナスCDではございますが...........................
テレビ出演時の音源(1970年)に、ラジオ放送用ライヴ録音(1976年 かの”King Biscuit Flower Hour”)という貴重な音源ではございますが、双方共に海賊盤起こしの感がございます。
ノイズ処理等が為されこの手の類としては非常に良心的な音質ではございますが、きちんとマスターテープ探しをしていただきたかった感がございます。
さて、オリジナル版。
録音制作エンジニアが録音に当たり、空間・立体感、音の分離感を取るか?低音を取るか?で非常な迷いがあった事が感じられる音造りでございます。
そもそも当時のBlack Sabbath自体が音響として録音し辛いという感があり、当時の録音システムでの限界が感じられる感がございます。
冒頭のツアー・マネージャーの紹介アナウンスがリマスター再発の際に削除となっておりますが、”Live at Last”発売に関して何かが絡む感がございます..................................
当時Black Sabbathには来日公演の企画がございました。
中止とはなりましたが、当時は来日公演時に”Live in Japan”制作が為されたという時代。
当時日本に優秀な録音エンジニアの存在が知られており、もし公演が実現し”Live in Japan”製作が為されていれば...............という感がございます....................................
そもそも今作リリース当時はアナログ盤時代。
収録時間の限界があり、削除された楽曲(代表楽曲の感......)が存在している模様でございます。されど録音が良くない事で外したという感がございます。
現在は”Protools”の時代。陽の目を見る日がいつか来るのでしょうか..................................................
現在は入手が困難。この機会に是非。
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