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盤共に非常に状態の良いでございますが、スリーブケース等に幾分の使用感がございます。
Audio Fidelity社は現在主流のリマスター方式で知られるフラットマスタリング方式の先駆者でございますが、音質に非常に定評がございます。
またアナログ的な高音質を指向している事も特徴でございますが、”オリジナルに即した内容”という事がミソでございます。
そもそもアナログ盤にせよ、CDにせよ、ハイレゾにせよ、SACDにせよ、マスターテープの再現が一番重要でございます。
ここ昨今オーディオファンから「マスターテープの再現を一番上手くしていたのはアナログ盤ではなかろうか?」との指摘があり、
嘗ての故George Marino等の名マスタリング・エンジニアが手掛けた過去のアナログ盤が高値で取引されております。
但し、こちらにはスクラッチノイズはございませんが......................................
内容は言わずもがな。
ラインナップは、Billy Joel(Vo、P、Key)、故Wilton Felder(B、The Crusaders)、
Emory Gordy Jr.(B、Emmylou Harris、後期Elvis Presley、Roy Orbison等)、Ron Tut(Ds、後期Elvis Presley他)、Larry Knechtel(B、Bread)、
Tom Whitehorse(Banjo、Steel G)、William Smith(Organ、BS&T、Bonnie Raitt、David Lindley他)、Joe Clayton(Per)、
Art Munson/Mike Deasey/Richard Benette/Michael Stewart/Raj Rather/Al Heltzberg/Gary Dalton/Don Evans(G)、
故Wilton FelderやLarry Knechtelの名が目を引きますが、他もアメリカ・ポピュラー系の名セッション・ミュージシャン。
錚々たる面々でございます。
前作のMichael Ommatianに変わり、アレンジはBilly Joel、プロデューサーで演奏参加も兼ねるMichael Stewartとなります。
コロンビア・レコード再契約後の前作”Piano Man”が結構なヒットを収め、その勢いに乗って制作された作品でございます。
但し、(その後のキャリアからも伺えますが...............)Billy Joel自身は「同じ作品は作らない!」との意向がある模様。
前作とは打って変わった感のある作品。更にはオーケストラ等の装飾アレンジは皆無となっております。
また、プロデューサー(を通じてレコード会社)から三分台に楽曲を纏める様に圧力があった模様で、コンパクト感のある楽曲が揃う感がございます。
(その後の作品でもBilly Joel自身が強く主張致しますが)自身のバンドを起用したがった模様でございますが、
プロデューサーに却下され(後にMichael Stewartに対して”独善的”と評した事からも伺えますが...................)、
折衷案としてバンド形式の音楽性を中心に制作を行った感がございます。
前作に比べ、非常に洗練され整った音楽性でメロディ重視の感がございます。
当時アメリカで大きく注目を浴びたS&SW的な感がございますが、何せBilly Joel。
枠に収まらぬ音楽性を有する稀有なミュージシャンでございます。
当時英国で大傑作を制作し続けたElton Johnの有り方ををプロデューサーが意識していた模様で制作に生かしており、
案外ロック色が強いものとなっております。
また、制作時は1974年。
イギリスではプログレッシヴ・ロック、HR等の大傑作が揃い、ターニング・ポイントという感のある年でございます。
それを意識した楽曲が聴かれるという特徴もございます。
前作に比べ、(前作の”Captain Jack”に繋がる)歌詞は醒めた感のあるものとなっており、非常に辛辣な感のあるものも存在。
音楽性の変換過度期の感のあるものとなっております。
また、前作の成功が重荷となっていた模様。
作曲に苦労しており多くを準備できなかった事から、インスト曲を用意したという経緯がございます。
前作同様The Crusadersの故Wilton Felder参加もあり、そのThe Crusadersやクロスオーヴァ系を意識した感のあるもの。
またBilly Joel得意の即興演奏から派生した感のある楽曲がございますが、
後者はBilly Joel自身が”天才”と称した故Keith Emerson(The Nice、Emerson,Lake & Palmer)の影響を(前作同様)垣間見るピアノ捌きが聴かれます。
苦肉の策とは言えど、非常に興味深い出来となっております................................................
前作程ではないにせよ”The Entertainer”のヒットも含み案外なヒット。
ツアーでは(会場は大きくないものの)単独で集客が見込める程に成功を収める程となります。
但し、Billy Joel自身はカリフォルニアでの生活には満足していたものの違和感を感じていた模様。
創作や活動環境を変えたいと故郷NYに戻る事となります..................................
今作は全盛期Billy Joelの作品群の中では低い評価が成されがち。
(前述プロデューサーの独善的な姿勢もあり)Billy Joel自身も「(前作含め)甘ったるくて何かすっきりとしない」という発言がございます。
但し、後の異色大傑作ライヴ盤”Songs in the Attic”に再アレンジを施した今作の楽曲が収められた事からも、
”制作の有り方”が異なれば....................................とのBilly Joel自身の思いがある様な気が致します...........................
(プロデューサーのMichael Stewartに関して”独善的””緊張感を強いて皆委縮していた”と評したBilly Joelでございますが、
「(プロデューサー特有の)様々な圧力の板挟みで可哀想だった」とも....................)
一連のBilly Joel全盛期作はMobile/Audio Fidelity社からSACD化が成されておりますが、アナログ盤時代の非常に優秀な録音揃いという事がございます。
今作もそれに準じたもので、リマスター化以前からCDでも音質の良さが知られていたものでございます。
また現行のリマスター盤は(特に初期作品は)Billy Joelが関与していない模様で、演奏等の差し替え等々の変更が見られるリミックス感が強いもの。
かの”Cold Spring Harbour”ではそもそもマスタリング・エンジニアが作業の際にテープ速度を間違えた事があり、
それを正すという面がございましたが、ストリングスを外すという改訂も存在。
また大傑作4th”Turnstiles”の名曲”New York State Of Mind”ではRichie Cannataの演奏を差し替える事も.................何かねぇ................
何をか言わんや、でございます.......................................................
また今作は後に登場するBruce Hornsby & Rangeに繋がる音楽性の感がございます.....................................................................................................
今作はSACD仕様ではございますが、オリジナルのみならず嘗ての4チャンネル・ミックス音源をも含めたもの。
何をか言わんや、でございます.....................................
現在では入手が非常に困難。この機会に是非。
注:発送方法は変更になる場合がございます。宜しく御願い致します。